「しつこい……」

 弾んだ息で、苦笑いする。

 背中から、足音がぴったりと。

 しかも、徐々に地響きが近付いてくる。

 指先が染まりそうに紅い果物をひとつ手に取って、シェイスは代わりに銅貨を太った店主に投げた。

 店主の愛想も見ないまま、足を止めずに走り抜ける。