青蒼の夜半に、闇色の鳥を

 失われた片腕。

 なのに片割れの左手は手のひらのタコを除けば傷ひとつない。

 シェイスに比べれば青白く薄い皮膚で包まれている。

 これから、いくらでも変わっていくのだろう。

 変わっていった姿で、いつか、あのひとにあいまみえる。

 そう考えたら名は簡単に思い付いた。

 それ以外、ないと思った。

 死んでしまった、壊れてしまった、変わっていく己に、証を。

「あんたの名は? 名無し殿」

 名前しか知らない少女――『彼』が仕えるべき長姫が、促す。

 『彼』も唇を綻ばせ、言葉を紡ぐ。

「私の名は――――」