苦痛に転がることさえできずに、奥歯で悲鳴を噛み殺す。

 なにが己の身に起きているのか。

 それさえもわからなかった。

 ほどなく、天幕の入り口に垂れた布を潜って、記憶にある少女が顔を出す。

 それまでの時間が、数時間数十時間に感じられた。

「大丈夫か?」

 どこか面白そうに、シェイスは『彼』の醜態を見下ろした。