王の葬儀を終え一連の儀式に区切りが付き、

 王宮が落ち着きを取り戻してしばらくの後。

 黄色みを帯びたきつい日差しが庭園に落ちる頃、

 王妃インシア・サリエ・アッバーサは、珍しい客人を部屋に迎えた。 

「随分と、顔を見ていなかったような気がする」

「俺もです。

 この五年、あなたのことなど考えもしなかった」

 虚ろな、凍えた口調でインシアが云えば、同じほど冷たい声が応える。

「お久しぶりです、と云うべきでしょうか。

 母上」

 喪を表す漆黒の長衣を身に纏い、ウルジャスが皮肉に口許を歪める。

 その表情が、ここ数ヶ月のウルジャスに最も馴染んだものだった。