ぎり、とすべらかな床に、爪を立てる。

 深く、滑らかな鏡面のごとき石に刻み込まれる傷痕。

 同じ傷が、誓約のようにウルジャスの内側にも焼き付く。

「いつか、必ず……」

 シェイスが消えた空間を見据え、掠れた声でウルジャスは誓いを立てる。

 涙は焦げ付き枯れ果てて、耐え難い渇きだけが身体にこびり付いていた。

 まるで、ただひとつの形見のように。