青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「構わないわ」

 シェイスがひっそりと笑う。

 その背後には、ラザーを背負った長身の青年。

 影を支配する女王のように自信に満ちて見えた。

「あたしはあんたの兄を貰っていくの。

 罪人であり、王の子であり、そしてあんたの兄である男を奪っていく」

 迷いを振り捨て、惑いを脱ぎ捨てて、

 シェイスは目の前で違う生きものになっていく。

 みるみる、遠くなっていく。

 引き伸ばされた影さえも、ウルジャスには触れられない。

「……奪われる物なんて、初めからなかった。

 俺の兄などどこにもいなかった。

 だけど、あなたの強さを俺は、憎む」

 ――置き去りにされる己の弱さを、憎む。