青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「エンカランの長姫、シェイス・リン」

 掠れた声が、喉許から込み上げる。

 それは乾き切って一片の情も滲まない。

 驚くほど、兄と、父の声に似ていた。

「俺は、あなたに感謝すべきかも知れない。

 だが、許せない。

 俺は、あなたを憎むだろう」

 魂が纏う血肉と、芯の部分。

 もろともずるずる蕩けていきそうな心地で、ウルジャスはうわ言のように呟く。

 罪人を罰したシェイスを、ウルジャスは責めることはできない。

 シェイスが殺さぬのならウルジャスが手を下すはずだった。

 あのままならば、ウルジャスの剣がラザーの頭を砕いていただろう。

 こんな呪い言を吐くのは筋違い。

 なのに、ぽっかりと開いた虚がウルジャスを動かす。