深夜の王宮の回廊を、灰色のお仕着せを纏った侍女が走る。

 夜番の侍女にしては、灯りひとつ持たず気配を殺したその姿は、異様。

 回廊の柱に身を隠した彼女を呼び止めたのは、一目で異民族とわかる褐色の肌の、貧弱な体付きの少女だった。