子供の頃、神殿から見習い巫女が数名、母に会いに来たことがあった。

 成人した巫女たちは希まれない限り神殿から出ることができない。

 だから、幼い見習い巫女たちが様々な神殿の用を勤めるため、旅をする。

 神殿に帰る朝。

 この聖堂の真上、昼間のひかりに満ち溢れた表の聖堂で、彼女らは神唄を披露した。

 透明な声は聖堂の高い天井に響き渡り、

 降り注ぐ音色は女神の恩寵にも思え、

 ウルジャスはうっとりと聞き惚れた。

 紡がれる女神の神託の意味を、知らぬままに。

 あのときと同じ心地で、ウルジャスはラザーの薄い唇が動くのを眺めていた。