ウルジャスの父。

 砂漠を渡る交易路の中枢である、『エリア・ファーレリア』の王。

 ジャスパ王は、昨日の夜眠り、今日の朝を臨むことなく息を引き取った。



 病でもなく怪我でもない、突然の死。

 侍医たちは、王がたしなむ阿片が寿命を縮めたのではと、揃って首を振った。

 彼の死にまず気付いたのは、王付きの年若い侍女。

 朝の支度のために訪れた侍女が、寝台に横たわり冷たくなった王を見付けた。

 可哀想にさぞ驚いただろう、とウルジャスは他人事のように思う。