内心焦るウルジャスを前に。

 ラザーは腹立たしいほど落ち着き払っている。

「最後に、王の死を悼むのも好いかと思いまして」

「いままで、そんなことなにひとつ云っていなかったくせに」

 声が、勝手に刺々しく歪む。

 ウルジャスの兄であることを止めたときから、

 ラザーは王の長子であることも捨てた。

 王の死を知っても、ウルジャスのために喪の準備を整えるばかり。

 肉親の情などひとかけらも見せなかった。

 その冷静さが、断絶の証のようで哀しかったことはまだ記憶に生々しい。