「お前が長としてあろうとする限り、俺はお前に仕えていく。

 犬と呼ばれようが、なんだろうが。

 お前の長としての矜持が俺を伍する限り、俺はお前に従い続ける」

「……なら、あんたは一生あたしの下僕よ。

 ずっと死ぬまで扱き使い続けてやる」

 それは、シェイスが一生、アギの妻として添わないと云う意味でもある。

 それで、好いのか、などと。

 訊ねるだけで、アギの誇りを傷付けるに違いない。

「まずは、王宮まで手を貸して貰おうかしら。

 勿論、逆らうことなんて赦さないから」

「承知した。長姫」

 芝居じみた恭しさで、アギがシェイスの手を取る。

 絶対に、わざとだ。

 だから、シェイスは偉そうに、揺らぐ手足を立て直し、無理矢理唇を歪めて笑ってやった。