青蒼の夜半に、闇色の鳥を

 時間を取り戻したかった。

 ジャスパ王と最後に別れた瞬間に戻って、もう一度やり直したかった。

 今度は、あの手を取る。

 いま、シェイスの涙を塞いでいるアギの手よりももっと脆弱で、なにひとつできない手を握る。

 過ぎ去ってしまった過去だからこそ思う幻想。

 ――現実はきっと、幾度やり直しても同じ結果を選ぶ。

 シェイスは、脆弱な王を選ばない。

 一族の命を選ぶ。

 長姫としての矜持を、選ぶ。

 つまらない話だ。

 どうしようもない戯言だ。

 袋小路だとわかっていながら、シェイスは涙に喉を詰まらせた。