ぐるぐると混乱する頭を抱えたまま、シェイスはきつく眸を瞑った。

 ジャスパの云い様は、決して間違っていないような気もする。

 だが、ジャスパは心底それを希んでいるようにも思えない。

 ただの戯れ。

 ただの言葉遊び。

 弄ばれて、一族を滅ぼす真似はできない。

 ――それ以上に。

 シェイスは、ジャスパをただひとりの主と認められない。

 惑いがある。

 見縊りもある。

 そんな状態の自分が、勝手に一族を売り渡すことなどできない。

 だが、むげに振り払うこともできなかった。