青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「本気だ、と云ったら?」

「ジャスパ!」

 振り返ったシェイスがぶつかったのは、予想外に強い視線。

 珍しいほど鮮やかにひかる青蒼の双眸。

 細めた眸の端に、細かな皺が寄る。

 そんなところにしか、ジャスパは年齢を感じさせない。

 存在感に、年輪の重みがないひと。

「考えてご覧?

 お前達は中原のラズリ族のように、戦を以って己の誇りを守ることはできない。

 なぜなら、お前達の領土はすでに、鍬と鋤によって汚されてしまったのだから。

 ならば、これからは他の生き方をするべきだろう。

 例えば、我らのような小国に仕えるような、ね」

「エンカランは、誰にも頭を下げない」

「すでに、それも揺らいでいる。

 金銭のために一族の戦士を切り売りすることが、

 従属に当たらないとでも思っているのか?」

 往なされて、言葉に詰る。