「それでももし、お前が運命に抗おうとするのなら。
エンカランの長姫シェイス・リン。
お前にひとつ提案だ」
笑みを含んだ声で。
決して本気ではない風情で。
寝転んだままのジャスパが、手を差し伸べる。
「お前、私に仕えてみないか?」
「怒るよ。
あたしは、一族の名を言葉遊びになんか使わない」
膝を立てたままで、ふいと顔を背ける。
争いごとを面倒臭がるジャスパなら、すぐに謝ってくると思った。
穏やかな、決してこころを透かさない薄っぺらな声で。
だが、シェイスの予想した台詞は、紡がれはしなかった。
エンカランの長姫シェイス・リン。
お前にひとつ提案だ」
笑みを含んだ声で。
決して本気ではない風情で。
寝転んだままのジャスパが、手を差し伸べる。
「お前、私に仕えてみないか?」
「怒るよ。
あたしは、一族の名を言葉遊びになんか使わない」
膝を立てたままで、ふいと顔を背ける。
争いごとを面倒臭がるジャスパなら、すぐに謝ってくると思った。
穏やかな、決してこころを透かさない薄っぺらな声で。
だが、シェイスの予想した台詞は、紡がれはしなかった。

