青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「中原の遊牧民ラズリは、いまだ一族のみでの生活を貫いていると聞く。

 遊牧の民でも千差万別か」

「うるさい。

 じゃあ、あんたはどうなのさ。

 中原から流れ込むのが、武器を持たない民だけならまだ好い。

 いつかは、兵まで押し寄せて来る。

 まして、その巫女姫とやらが選びの意思を持ち、ただひとりの覇王を選んだならエリファも平らげられるだろうよ」

 さあ、どうする、とシェイスが挑む。

 いつも、会話はここで断たれる。

 結局、ふたりは同じ穴の狢だ。

 滅びは足先まで迫っているのに、有効な手がなにひとつ見出せない無能な長。