薄紅色の髪に、薄茶色の眸。

 辛うじて褐色を帯びた肌だけにその名残を残すサディマは、エンカランの民だった。

 城市に溶け込める淡い色彩を持って生まれたエンカランの子供には、ふたつの選択権が与えられる。

 ひとつは、生まれた一族の暮らすこと。

 もうひとつは、一族を離れ城市に住み、ささやかな噂から国の存亡まで、耳を澄ませて生きること。