「お嬢? どうしたんだい?

 随分しおらしい状態じゃないか」

 長い髪をくしゃりとかき上げて、サディマが呟く。

 その声に、力なくシェイスが瞼を開いた。

 小生意気そうに唇を歪める。

「間抜けなことしちゃったわ。

 ごめん、ちょっと診てくれない?」

 微かに、血が滲む片脚を揺らしてみせる。

 痙攣でも起こしているような不自然な仕草だ。

「毒にやられた」

 シェイスを抱き抱えるアギが短く云い添える。

 今度は怒鳴りもせず、サディマが奥の部屋に差し招いた。