小汚い商人街の一角。

 悪臭ぎりぎりの、醸された草の匂いが満ちる店の。

 乱暴に蹴り開けられた粗末な扉に、薬師サディマはびくりと椅子から飛び上がった。

 とっさに、温かな茶を注いだ茶器を手のひらで引っ掛けてしまう。

 たらたらと、朝食代わりの甘い果実茶が袖口を濡らす。

 べたついて気持ちが悪い。