顛末を目にして、ラザーが舌打ちをする。

 その脇をゆらゆら、そ知らぬ風のインシアがすり抜けた。

「なぜ、あの娘を庇われた?」

 ラザーの問いに、インシアは無言で首を振る。

 さらりと、灰色の長い髪が華奢な肩を零れていった。