青蒼の夜半に、闇色の鳥を

 揺れる頭のなかでシェイスが考えたのは、このままではシェイスは囚われてしまう、と云うこと。

 殺されても構わない。

 だが、目の前の王妃が王を殺したのであれば、彼女を放置したまま死んでいくなど。

 納得が、できなかった。

「あんたが、王を殺したの?

 インシア・サリエ・アッバーサ」

 もし真実なら、せめて道連れが欲しかった。

「エンカランの長、シェイス・リン。

 まだ、お前の手にまこと真事はない」

 インシアが名乗った覚えのないシェイスの名を口にする。

 彼女の深紅の唇が紡ぐと、聞き慣れた名さえ硬質な響きを帯びるのが、不思議だった。