真下から望む塔の壁は、遠目ほどに白くも、美しくもなかった。

 長い歳月を重ねたために褪せて灰色掛かった純白。

 地面からおどろしく伸びる蔦の黒帯びた深緑色。

 佇まいは静けさに寒々しさを含んでひとを寄せ付けない。

 目の前にすると、はっきりとわかる。

 これは、牢獄以外のなにものでもない。