吸い込まれそうに高く半円を描く天井。

 高みに据えられた窓には青蒼の色硝子がはめ込まれ。

 壁には一面、同じ色調の薄い陶器が飾られる。



 王宮の最奥、半分が地下に埋もれた『王のための聖堂』。



 朝夕の礼拝に開かれているのは、真上に位置する『祈りのための聖堂』。

 だが、今日は違う。

 十数年、かたく戒められた鍵を開き。

 吹き抜けぬ風を入れ、おためごかしに清められた聖域。

 そこはまさしく、王のためだけに存在する場だった。



 正しくは――『死せる王の眠りのための聖堂』。