先生のご両親が、アメリカから帰ってくる日がやってきた。
私と先生は空港にお出迎え。
えっと、挨拶して、荷物持って、、、
と頭の中で考える。
そして、空港の廊下から二人の夫婦が大荷物でやってくる。
「幸治、久しぶりだな!」
「久しぶり。」
とお父さんと先生の会話が始まる。
すぐにお父さんが私に目を向ける。
「かな、、、ちゃん、、、。」
とつぶやく。
挨拶しなきゃ。
「は、始めまして、鈴木かなです!」
と頭を下げる。
「かなちゃん!」
と言われると、すぐにお父さんに抱きしめられた。
お父さんは涙ぐんでいた。
「こんなに大きくなっちゃって!!!
元気でいてくれて、嬉しいよ。」
続いてお母さんも私に近付き、
「もう覚えてないよね?
私たちは、あなたと出会った日をつい先日のように思い出せるのよ。」
とお母さんは泣きながら話す。
くっ、苦しい。
欧米の挨拶って、、、
苦しい。
「おい!親父、離してやれよ。」
と先生が言うと、
「ごめん、ごめん!
つい嬉しくって。」
こんなに人に抱きしめられたの、初めてかも。
嫌な気はしなかった。
「話は後にして、さっそく幸治の家にお邪魔してもいいか?」
とお父さんが先生に聞く。
「ああ、おじさんたちも来るんだよな?」
「夜ご飯に間に合うように来るって。」
とお父さんが返事をする。
私たちは、駐車場に止まる先生の車でマンションに向かった。



