「お願いです、一ノ瀬さま。パーティーには女性の同伴者が必要ですが、お坊ちゃまは今だ独身。そして何者かに命を狙われている今、一般女性ではなくあなたがついてきてくれたら安心だと思うのです」
やなこった。こんなやつにエスコートされるなんて御免こうむる。
「それならそこにSPが二人もいるんですから、女装させて同伴させたらいいでしょう?特に大西さんなんて、私より可愛いじゃないですか!」
ねっと同意を求めて振り向くと、大西さんは涙をこらえていた。
「俺、いつもいつも女みたいって、弱そうって言われて、地味に傷ついてるのに……」
ぐっと唇を噛む大西さん。
その横では新城さんが慰めるように背中を撫でている。
「ああっ、ごめんなさい!そんなつもりじゃ!」
「ハイ、決まり。じゃあ店員さん、よろしく~」
大西さんを泣かせてしまって慌てたすきをつき、女性店員さんが私をフィッティングルームへ連れていく。
あ~れ~!どうしてこんなことに~!



