溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「今日は国会はない日でしたっけ。他の活動があるんじゃないですか?」


普通の政治家は、休みなんかほとんどないと聞く。

勉強会や交流会に出席したり、講演会に呼ばれたり、街角で地道に演説をしている人もいる。

けれど……。


「はい、今日は夜にパーティーの予定があります」


三田さんの答えは予想通りすぎて、ため息が出た。

パーティーって。その前の暇つぶしに呼ばれたってことか。

パーティー会場での警護なんて、特殊班も大変だ。

ふと窓の外を見ると、ブランドショップが立ち並んでいた。

あれ、いつの間にこんなところに……。と思っていたら、リムジンがゆっくりと歩道に寄せて停まった。


「いたいた。お坊ちゃま!」


先に降りた三田さんが、有名ブランドの前にいる男に走り寄っていく。

サングラスにポロシャツ、膝上の短パンに裸足に革靴。肩にはピンクのカーディガン。

なにこれ。全然好きじゃない。

けど、その両横にはスーツで長身のSP。


「新城さんと大西さん!」


ということはこの人もしや……。

おそるおそる車から降りると。