誰だろう?
のぞき穴から見ると、そこには見覚えのある人物が。
「えっ、どうして?」
戸惑いながらも玄関を開けると、国分議員の秘書の三田さんが心細そうにして立っていた。
「一ノ瀬さま、お休みのところ大変申し訳ございません」
「どうしたんですか?」
「私と一緒に来てくださいませんか。お坊ちゃまが、あなたに会いたいと言ってきかないのです」
はあ?あのバカ息子、王様にでもなったつもりか?
変なわがままに付き合わされて、可哀想な三田さん……だけど。
「お断りします」
休みの日までバカ息子に会いたくない。
さっとドアを閉じようとすると、あろうことか三田さんがその隙間に足をねじ込んできた。
「お願いしますぅぅ。あなたが来てくださらないと、私は無能な秘書としての烙印を押され、クビにされてしまいます」
「まさか、いくらなんでも」
「あの人に常識は通用しません。お願いです。私には妻と、子供と、孫達がいるんです~!」
妻は扶養義務があるかもしれないけど、あとは独立してるんでしょ?さらに孫は関係ないでしょ?



