溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



そして、彼……新城聖は、今私の隣で笑っている。


「なんだよ。照れたのか?」


あのあと、彼は改めて告白のようなことはしなかった。

私たちは当然のように一緒にいて、恋人らしいことを……少しずつ、ゆっくりだけどするようになった。

彼は私をひかりではなく紫苑と呼び、私は彼を名前で呼ぶように。

そして半年たった今も、二人でSPを続けている。


「……別に」


彼は焦ることがなくなったというように、事件後はまったく強引でなくなった。

恋愛に慣れていない私を気遣うように、そして緊張や不安を感じないように、最新の注意を払って接してくれているようだった。

私がもっと上手に対応できたら良いのだけど……いたずらっこみたいに強引だった聖さんが、ちょっと懐かしい。


「なあ、俺たちはいつごろにしようか」


聖さんが歩みを止める。