国分外務大臣は渋い顔でうなずく。
中河さんや一ノ瀬の父がやったことも、重い犯罪だ。これで対等とは言えないが、悪くない交換条件だろう。
『そして、今後一切、私や一ノ瀬の家族、そして中河さんや当時に関わった医療スタッフに迷惑をかけないと約束してください』
『自分たちだって悪いことしてたのに……』
ぼそりと言ったアホ息子を、ぎらりとにらみつけた。
彼が黙っているすきに、外務大臣に念を押す。
『そして、三田さんのご家族に十分な援助をしてください。もともとあなたたちが汚いことをしようとしたから、彼は思い詰めてしまったんです。このお金は、そのために使ってください』
『そんな、俺たちを狙った犯人の家族にやるなんて。もったいない……』
まだ異論があるらしいアホ息子の顔を見ると、怒りが爆発した。
会った瞬間から、迷惑ばかりかけやがって。このアホ息子!
──ビュッ!
挙げた手のひらを彼の頬に向けて、振り下ろす。



