溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「この任務は、お前にとって良くない影響を与える」

「どういう意味ですか?」

「国分議員とお前は合わないだろうってことだよ」

「議員に会ったことがあるんですか」

「いいや。でも俺のカンは外れない。傷つく前に、やめておけ」


何それ。何の根拠もない、ただのカン?


「心配ご無用です!」


むしろご意見無用だわ。

私は野菜ジュースを一気飲みすると、パックを握りつぶしてゴミ箱に投げ入れた。


「どこ行くんだ」

「お手洗いです」


なんなのよ。

惚れてるとか言ってドキドキさせたり、意味不明な独り言で不安にさせたり、すぐ辞めろって言いだしてイライラさせたり……。

私は頭の中でくるくると表情を変える、まるでカメレオンみたいな新城さんの顔を、無理やり追い出した。

要は、傷つかなきゃいいわけでしょ?

見てなさいよ。マルタイも自分も、誰も傷つかないように、全力で安全確保してやるんだから!