SPになれば、政府要人に近づくことができる。
ひかりの父が秘書を務めていたのは、元総理の国分という人物だった。
あの事件のあと、『秘書の罪の責任をとる』という名目で総理の座を辞してはいたが、彼は今だに政界に居座っている。
彼ならば、ひかりの父に何が起きたのか、本当のことを知っているかもしれない。
けれど、実際に要人と口をきくのは容易なことではなかった。
マルタイはSPと仲良くなろうなんてしない。
彼らにとってSPはただのお飾りであり、人間の盾でしかないのだ。
そして、総理を辞して一般議員になっていた国分の警護につく日は、いつまでたってもやってこなかった。
彼が外務大臣に任命されたのは、つい最近のことだ。
やっと彼に近づく日がやってくるかもしれない。
それまでの独自の調査で、ひかりの父が国分の罪をなすりつけられて殺されたのだという推理をしていた俺は、絶対に彼自身の口から真実を聞きたいと思っていた。



