その間にも、新城さんの顔の真ん中を狙い、刀が突きだされる。
なんとか避けた彼の頬に、赤い線が走った。
飛び散った血がついた壁に、刀の切っ先が突き刺さる。
「撃つなって、言ってんだろ!」
壁から刀を抜こうとしている敵の脇から抜けた新城さんが壁際を横に動き、距離を取る。
すぐに刀を抜いた敵は、次の一撃を繰り出す。今度その切っ先が狙うのは、彼の胸だった。
「逃げて……!」
思わず叫ぶ。けれど彼がその場から後退することはなかった。
見慣れた革靴が、敵に向かって床を蹴る。
次の瞬間、新城さんの体は宙を駆けていた。
いや、壁を蹴って移動しているのだ。そうして相手の頭上を越えていく。
虚を突かれた相手が、新城さんの動きを目で追う。
敵が振り返るより早く、壁から跳躍した新城さんは彼の背後から、首筋に向かって警棒を振り払った。
ドン、と着地する新城さん。それと同時に、敵の巨体も床の上に倒れ込んでいた。



