「おそらく、真剣」
こめかみを冷汗が伝っていった。
大男が持っているその剣は、刃渡りおよそ90センチ。
それに対し、新城さんの警棒はおよそ60センチ。
体格でも武器の間合いでも不利な新城さんが、さらに真剣を相手にして勝てるのだろうか。
不安が胸に押し寄せる。
こうしている場合じゃない。矢作さんは転んでも立ち上がってくる他の相手をさばくのに手がふさがっている。
私は自由になった足で、立ち上がろうとしていた国分議員のお尻を、思い切り蹴った。
「ひぎゃあっ」
つんのめった議員は、鼻から床に沈没した。
潰れたカエルのような、情けない声がした。
よくも今までコケにしてくれたわね。
私は容赦なく靴で彼の体をあおむけにすると、その腰に馬乗りになる。
「鍵を出しなさい!」
「へ、へき?」
「鍵よ鍵! この手錠を解除しなさい! さもないと、ぶつわよ!」
硬い手錠を腕ごと振り上げると、議員は泣きながら悲鳴を上げた。



