溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



小さな火花は、やがて少しずつ大きくなり、古ぼけたビジョンに変わっていく。

そうだ。あの日も、暗くて狭いところに私はいた。

瞬きをした刹那、強烈な光が網膜を焼く。

後を追って聞こえた雷の音を聞きながら、意識が遠のく。

そう……あれは、私が六歳のときだった。


『お兄ちゃん、遊ぼう』


小学生になりたてだった私は、友達がいなかった。

通っていた幼稚園から入学した子が少なく、しかもクラスが別れてしまったから。

他の幼稚園から入学した子たちと、なかなかうまく話せなくて、しょんぼりして歩いていた帰り道に、近所のお兄ちゃんを見つけた。

生まれつきの茶色の髪に、白い肌をした男の子。

幼なじみと言っていいだろう。彼は私を見つけ、困ったように笑った。

そして、近くにいた友達に『ごめん』と謝ると、私の方に歩み寄ってくれた。


『どうしたの。悲しそうな顔をしてる』

『……学校で、誰も遊んでくれないの』


素直に話すと、じわりと目に涙が浮かんだ。


『そうか……とにかく家に帰ろうか。おばさん、きっと待ってるから』


やがて家に着くと、珍しく両親がそろってリビングにいた。