溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「ここにいるのは、プロの殺し屋だ。本当のことを話さなければ、ひどい拷問にかけるぞ」

「本当のことって……?」

「しらばっくれるのもいい加減にしろ! 俺たちを襲ったテロリストの正体と居場所を吐け!」


国分議員は突然激昂し、右手を振り上げた。

叩かれる。

見えているのに、体が自由にならない。

目をつむった瞬間、頬に痛みが走った。

横たわっているせいで、頭ごと床に叩き付けられる。

鈍い音と共に、ぐらりと脳が揺れた。


「そんなの、知らない」


どうして私が、テロリストと手を組んでいるようなことをいうの?


「仲間を背負い投げしたお前の演技はたいしたものだった。よくも今までだましてくれたな」


議員は私の髪を乱暴につかみ、無理やり顔を上げさせる。

そのせいで、頭皮がはがれそうなほどの痛みを感じた。


「もしかして、公園で私と新城さんを襲ったのは……」

「もちろん、俺が差し向けた刺客だよ。でもとんだ役立たずだった。だから今回は親父直々に、百戦錬磨のこの人たちに頼むことにしたんだ。金は倍かかるけどな」