三田さんの言葉を思い出す。
なんだかさっぱりわからないけど、どうやら私は誰かに狙われているらしい。
要人を警護するSPの私が、まさか狙われる方の立場になるとは。
三田さんは『あなたの敵』と言った。
つまり、一緒に襲われた新城さんや、見張られた家族はとばっちりを受けた可能性が高い。
これ以上誰かを巻き込む前に、真実を明らかにしなきゃ。
となれば、まず頼るのはあの人しかいない。
スマホを取り出し、慣れないメールを送る。
『相談したいことがあるので、お手隙の時にでもお返事をくださると幸いです』
送信先はもちろん、新城さんだ。
警護中だろうから、すぐに返信はこないだろう。
私はジャージから葵に渡されたワンピースに着替え、同時に買ってきてくれたタイツを着用。
さて、お腹が空いた。朝から何も食べずに体力を使ったから、気持ち悪いくらいの空腹を感じる。
新城さんから返信があるまで、家でじっとしていよう。
鏡を見る気もなく、さっさと階下に降りていくと、母がキッチンに立っていた。



