「後ろは任せた」
そう言い、腰から抜いた警棒のボタンを押す新城さん。
シャキンと音を立てて伸びたそれを持ち、ナイフや小刀を持った敵に向かっていく。
任せられた……ということは、絶対に負けられない!
私は新城さんに背を向け、後方から向かってきた二人の敵を見つめる。
一方は素手で、ナックルをつけている。もう一人はアイスピックを持っていた。
相手の足元に注視する。と、ナックルの男が一瞬早くこちらに足を踏み出す。
こっちが先か。素手で来るなんて、いくら怪我をしているとはいえ、なめられたものだ。
ぶん、と空を切る音と共に素早い拳が繰り出される。
私はそれを紙一重で避けると、持っていた松葉杖を一本捨て、一本をライフルのように担ぎ、相手の脇を思い切り突いた。
「ぐうっ」
ナックルの男の苦悶する声が、そのマスクの下にこもる。
脇は人体の急所だもの、しばらくは動けないはず。
そう思う暇もなく、アイスピックの男が至近距離まで迫っていた。



