溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「狙った要人を警護していた私たちへの、逆恨みでしょうか」


「さあ。きっと聞いても答えちゃくれないだろう」


たしかに。洗いざらい自分の目的を話してくれるのなんて、追いつめられた時代劇の悪役くらいだろう。

敵は私たちにじりじりと近づいてくる。

全員が男で、サングラスをかけた者、メガネをかけた者、素顔をさらした者、マスクをした者と、格好も髪型もさまざまだ。

すでに私たちの顔を確認できる距離まで来ているのに、撤退する気配はない。

ということは、人違いではなく、私か新城さんを狙っているということか。

もしかして、国分親子を狙っている組織と何か関係があるのかも。

ひやりと、冷たいものが背中を伝い落ちる。

よりによって、どうしてこんな怪我をしているときに……。

新城さんが、スーツの中にゆっくりと手を入れた。

その瞬間、前後から四人の敵が、私たちを挟み撃ちにしようと地面を蹴った。