溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



結局到着したのは、警視庁からすぐ近くにある公園だった。

私をベンチに座らせた新城さんは、『昼飯調達してくる』とどこかへ行って、すぐに戻ってきた。


「ほら、食え」


かさ、と乾いた音と共にビニール袋が差し出される。

その中には、近所のカフェで売っているサンドイッチと、カフェオレらしきものが入っていた。

食欲がなかったから、がっつり系のお弁当を買ってこられたらどうしようと思っていたけど、新城さんは聞かなくても察してくれたみたい。

強引なところもあるけど、こういうところは優しいなあ……。


「ありがとうございます」


財布からお金を取りだそうとしたけれど、手を振って制された。


「いい」

「でも」


出会った時から、おごってもらってばかりだし……しかも一度はキスされてパニックになり、ひっぱたいて逃げたし。


「俺はあいつみたいにブランドのドレスや、ホテルのメシは食わせてやれないから」


そう言うと、新城さんは私の横に座る。

あいつ?もしかして、国分議員のこと?