溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



私もあんな風に小さくて、痩せていて、頼りないキャラだったら。

あんな風に、素直に男の人にじゃれたりできる性格だったら。

新城さんの一挙一動に、もっと良いリアクションが取れるのだろうか。

私ときたら、好きだと言われても綺麗だと言われても、かかしのように突っ立っているだけ。

真面目に生きてきたつもりだったけど、気づいてみればなんてつまらない女になってしまったんだろう……。


「松葉杖って、意外に脇が痛いだろ。肩貸してやろうか」

「……いえ、大丈夫です」


ほら。

『やだ、人前じゃ恥ずかしいから~』とか、可愛く恥じらうこともできない。


「なんだよ。今日は珍しく落ち込んでるな」


新城さんが心配そうに私の顔をのぞきこむ。


「そんなこと……」

「まあいいや。あとでゆっくり聞くから」


彼はそういい、私の先に立って歩く。

松葉杖の私にあわせ、ゆっくり、ゆっくりと。

そんなさりげない優しさが嬉しくて、うっかり涙が出そうになった。

こんな弱い私は、嫌いなのに……。