溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



「では、私行きます。お邪魔してすみませんでした」


新城さんではなく中園さんに会釈をし、その場を立ち去ろうとした。


「じゃあ、俺も一緒に行くわ。麻耶、篠田には休憩に行ったって言っておいてくれ。指定された時間までには戻るから」


そうか、中園さんは篠田さんに呼ばれて来たのか。

もしかして、新城さんも?


「はーい!ごゆっくり」


中園さんは、私たちに手を振った。

その顔がなんだか寂しそうに見えて、罪悪感がよぎる。


「いいんですか?彼女、寂しそうですけど」

「ああ、あれは俺じゃどうしようもないから」

「といいますと?」

「高浜さんが警護でなかなか帰れないから寂しいんだよ。おおかた俺たちを見て、『私も亮司さんとランチしたいなあ』……って思ってるんだろう」


なるほど。高浜さんは国分議員の警護が始まってから、あまり休めてないものなあ。


「SPの彼女って、大変そうですね」


だけど……ほんの少し、中園さんがうらやましい。