「あっごめんなさい、じっと見て。本当にキレイなひとだと思って。亮司さんも『すごく綺麗な子が入った』って言ってたから……」
「気が気じゃなかったんだよな」
「そ、そんなことないもん。亮司さんはチームの仲間に手出したりしないもん」
「マルタイには手出したけどな。俺知ってるぜ?お前らがどんなふうに結ばれたか」
からかう新城さんに、中園さんは顔を真っ赤にして怒った。
「もう!人の記憶を見たことは忘れなさーい!」
ポカポカと新城さんの腕を殴る中園さんはとても非力そうで、彼は全くダメージを受けていなかった。
私がどついたら、いくら新城さんでもふらつくだろうに。
中園さんがどんな事件に巻き込まれて特殊班に警護されていたのかは知らない。
総理でも大臣でもないのだから、きっと特別な事件があったんだろう。
それより気になるのは、新城さんがとても楽しそうに中園さんをからかっていること。
私の前では、そんなふうに、子供みたいな顔をして笑ったことなんてないのに。
なんだかモヤモヤして、その場から離れたくなった。



