溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】



自分の席から私たちを見守っていた班長が、そうフォローしてくれる。


「そうか。特に個人的なトラブルや、問題を起こしたわけではないのだな」

「ありません。あちらは何て?」

「とにかく外せとしか言われていないから、不審に思っていたんだ」


ちゃんとした理由も言わず警護から外せだなんて……。

そこは自分の息子に、私に関心を持たないように言い聞かせればそれで済むことじゃないの?

小中学生ならまだしも、そんな理由で人の仕事を取り上げるなんて、正気じゃない。納得いかない。

反論しようと思って息を吸った瞬間、篠田さんが先に口を開いた。


「まあ、その怪我じゃどのみち警護は無理だろう。ちょうど良かったじゃないか」

「そんな……こんな怪我、数日で治ります。テーピングすれば大丈夫ですから、早く現場に戻してください」


勢いづいて思わず立ち上がると、捻挫した足首がずきりと痛んだ。

顔がゆがむのを見逃さなかったのか、篠田さんがため息をつく。