私はそそくさと理事長室を抜けると、下駄箱へと向かった。 さぁ、帰ろう。 げたばこから靴を取りだし、校庭へと出た。 私はまた、吸い寄せられるようにあの桜の木の下へときていた。 早く帰らないと玲にばれるのにどうしてもここには来たかった。 いつ見ても綺麗な桜、もうすぐすればきっと舞い散って夏の新緑に変わってしまうのだろう。 凛と咲き誇る桜だけど、その美しさは儚い。 そんな桜が私は好きだ。 あの日のように桜の樹の幹に手を置いた。 「莉子か?」