しょうがないっちゃしょうがないのかもしれないけれど、弾きたかったのは事実だ。
そのことをこの間玲に話したから、玲は気を使ってくれたのかもしれない。
「桜の約束、だよね?」
不意に入口の方向から声がかかり、演奏をやめた。
視線をやるとそこには、黒髪の優しそうな男子が顔をのぞかせていた。
整った顔が印象的だ。
「えっと、はい。よくご存じですね」
いつからいたのだろう?全く気付かなかった。
「俺も好きなんだ。あ、勝手に聞いちゃってごめんね。」
そう言いつつ、彼は音楽室に上がってきた。片手にビニール袋を持っていることから、昼ごはんの買いだし途中だったと想像できる。
おいしそうだな・・・.


