「痛っ」
指先に何か鋭利なものが触れ咄嗟に指を引っ込めた。
指先からは一筋の赤い液体が出てきている。
・・・赤。
こんなのを見てもあぁ、血が流れてるなぁと客観的に見ている私はどうかしているのだろうか。
赤色….か。
「子さん、莉子さん!どうしたんです?」
不意に背中を叩かれはっと我に戻る。
後ろを振り向くとヒデが不思議そうな顔をしている。
反射的に血が流れている指を拳にして隠す。
「あ、おはようございます。何もないですよ?」
笑いながらさっきとは違う手で刃物に気をつけながら靴を取るように下駄箱に手を入れた。