「見てもいいの?」

少しだけ首を傾げる。今まで、こんなにはっきりと沙那さんからの視線を感じたこはなかった。片付けられずに引かれたままの椅子みたいに、ただ一緒の部屋にある家具や壁の一部くらいでしかなかったんだろう。
彼女の瞳に写り、気を引くことのできる小物やインテリアですらなかった。

それくらい接点がなかった。一緒に働くスタッフだとしても、働く場所や時間帯もズレてしまうため、まともな会話でさえ初めてだった。

白くて長い指。少し荒れているのは、植物や水を扱うからだろう。長い指が丁寧にページをめくり、時折じっと見入ることがある。

その視線が写真を通して自分の心まで見透かしてしまうようで、今更ながらドキドキと鼓動が早くなる。

早く見終わって欲しい、でも感想を聞くのも照れ臭い。沙那さんなら、なんて言ってくれるんだろうか。