降って湧いたようなその思いに、心の扉がわずかに開くのを感じた。開かれたそこからは、新しい風のように爽やかな温かなものが溢れてくる。

ちらりと品川さんの隣に座る沙那さんを見る。窓から射す光で白いシャツがまぶしいくらいに輝いて、光に縁取られた髪がつやつやとした光沢を見せている。

伏し目がちにカップを手に取り、唇をつけていた。飲み物のカップの中味は紅茶だ。どうやらコーヒーは苦手らしく飲んでいるのを見たことがない。

そんなふうに沙那さんを見るこの行為を何と言うのだろう。盗み見る、観察する、覗く。そのどれもがよい言葉にとれなくて気持ちが凹む。

でも、このままでいいと思えなくなっている自分がいた。焦っているとも言える。胸の奥をちりちりと焼く焦燥が、重い口をなんとか開かせる。

「沙那さんも見てください」

ミオの前で開かれていたファイルを取ると沙那さんに渡した。