珊瑚を確認すると、ボンベに空気を残して水をあがる。
ボートへと乗り越むとぱたぱたと雫が散った。
足元に落ちる雫を見て、もし泣いていても、ぽたぽた垂れる水と涙の区別なんてつかないないだろうなんて考えていた。
「どうだった」
足元に船長の影が落ちる。見上げると眉間にしわを寄せていた。
「…びっくりしました」
命のかけらのない海は寒々としていて墓場のようだった。今まで泳いでいた魚達はどこに行ってしまったのかと思う程、そこに生き物の気配がなかった。
「泣くかと思ったよ」
自分のほうが困ってる顔をしながら船長が首を傾けた。
「さすがにそれはないでしょう」
確かにショックだった。衝撃で涙も出ない程だ。胸がつまるような重苦しさがある。



